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日本蒸留酒店 夜と霧:札幌のバーからレポート!
抹茶マシン「Cuzen Matcha」をどう使う?
– 後編 –
#Pick up
三上順平/Mikami Junpei from「日本蒸留酒店 夜と霧」
文:Ryoko Kuraishi
「SAMURAI Spirits」ということで、日本の蒸留酒と和のこころを大切にしている三上さん。
導入したのは、「体験としてユニークだったから」。
昨年10月、札幌・すすきのにオープンしたのが、日本の蒸留酒専門のバー「日本蒸留酒店 夜と霧」。
コンセプトは「SAMURAI Spirits」。バックバーには日本各地のウイスキーやジン、ラムが並び、和紙をふんだんに使った店内では、着物を粋に着こなした店主・三上順平さんによるカクテルが楽しめる
人とかぶらない新しいギアやツール、手法を取り入れるのが好きという三上さん。「Cuzen Matcha」を知ったのは、とある経済誌で見つけた塚田英次郎さんのインタビュー記事がきっかけだった。
「抹茶版エスプレッソマシンなんて聞いたことがなかったし、お客さまの目の前でフレッシュな抹茶を点てられるというのが非常にキャッチーだと思いました。
茶室の円窓を思わせるデザインはもちろん、茶農家や茶畑というお茶にまつわる文化を守るというストーリーも、当店のコンセプトにフィットします。
これは新しいバー体験を提供できそうだと感じ、すぐに導入を決めました」
抹茶を使ったドリンクのオーダーが入ると、ゲストの目の前にマシンを移動して抹茶を点てるところを見てもらう。「ドリンクの味わいというだけでなく、新しい体験という意味でもキラーコンテンツになっています」。
そもそも札幌には抹茶専門店が多く、カフェでも抹茶のドリンクやスイーツを取り揃えているなど、独自の抹茶文化が育まれているとか。
実際にマシンを置いてみると、想像以上の反応があった。
「『こういうマシンがあって、挽きたての抹茶を使ったドリンクを用意しています』とご案内すると、ほとんどの方がオーダーしてくださる。
碾茶を粉末にして抹茶を点てるというプロセスを、ドリンク体験の一つとしてお客さま自身が楽しんでくださっていますね。
マシンが抹茶を点てている間にこちらはグラスや氷を準備できますから、オペレーションとしても優れています。
茶葉をまるごと使うのでかすも出ず、メンテナンスはほぼ不要というのもいい」
「日本蒸留酒店 夜と霧」が提供する抹茶カクテルから。左は「ZEN TONIC」。ニンジャアイスを使い、綺麗なレイヤーを見せるのがポイント。右はノンアルコールの人気カクテル、「黒胡麻黒蜜抹茶ラテ」。
「夜と霧」で提供しているのは、ジャパニーズクラフトジンで作るジントニックに、抹茶をフロートして美しい層を表現する「ZEN TONIC」。
そのほか、ノンアルコールの「黒胡麻黒蜜抹茶ラテ」、沖縄の「Ie Rum SantaMaria ゴールド」ベースのモヒートに抹茶を浮かべる「抹茶モヒート」。茨城の「和ウォッカ」と抹茶、ベイリーズを合わせる「抹茶ラテマティーニ」など。
「『抹茶とラムを合わせる?』と不思議に感じるかもしれませんが、普通のモヒートよりもコクがあって、飲み応えがあり人気なんですよ。
黒糖シロップが抹茶とラムの橋渡し役になってくれ、一体感が生まれるんです。
『抹茶ラテマティーニ』は、マティーニらしいアルコール感はありつつも、抹茶が口当たりを柔らかくしてくれる。女性に人気のショートカクテルです」
フレッシュな抹茶パウダーが生チョコレートにアクセントを加える「空禅抹茶の生チョコレート」。
フレッシュな抹茶ならではの、香りの切れる余韻を生かす。
レシピ考案の際に意識しているのは、フレッシュな抹茶独特の、「香りが切れるタイミング」だとか。
「茶の香りが切れる瞬間までも楽しむのがお茶の心だと思いますが、香りや味わいの余韻がふっと消え、あとに残りすぎないところが抹茶のおもしろさだと考えています。
カクテルにおいてもふっと消える余韻を生かしたいので、余韻を邪魔する人工的な香りのシロップやリキュールはなるべく使わないようにしています」
「Cuzen Matcha」をミルとして使い、挽きたての抹茶をスイーツやフードに活用することも。
たとえば、生チョコレートの上に抹茶パウダーをかけて提供する「空禅抹茶の生チョコレート」や抹茶アフォガード、フレッシュな抹茶のお茶漬けなど。
今後も抹茶を使ったスイーツやフードメニューをさらに充実させていく予定だ。
この秋発売予定の業務用「Cuzen Matcha」(価格未定)。現在、オンラインで取り扱いがある抹茶マシン(スターターキット)は¥39,600。
この秋、業務用マシンが登場!
ここまで読んで「Cuzen Matcha」を使ってみたい!と思ったバーテンダーのみなさんに朗報!
かねてより塚田さんたちが開発にあたっていた業務用マシンが、今年10月、日米同時発売予定だとか。
従来のマシンとの違いは、茶筒が2本になり、2杯同時に作れること。提供スピード上がること。抹茶の濃さを6段階から選べること。
いちばんのポイントは、専用カップの仕様変更だ。「Cuzen Matcha」はスピリッツなど水以外の飲料を、直接カップに入れて点てることも可能なのだが、専用カップでは1回あたりのミニマムの水分量が30cc(従来のマシンは60cc)対応になる。
これはやっぱりカクテル対応……?
「そうです。たとえばジンを使って抹茶ジンを点てた場合、1オンスのほうがレシピに取り入れやすいようですから」
この新バージョンの専用カップは従来の家庭用マシンにも使えるそうで、業務用マシンに先駆けこの夏から販売開始予定。
「すでに導入している店舗では、新マシンを待たずともこのカップをお使いいただけます。
カクテルやモクテルなど幅広いレシピに挑戦していただきたいですね」
抹茶がもたらす新たな飲用体験、ぜひお試しください!
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日本蒸留酒店 夜と霧 | |
北海道札幌市中央区南5条西4丁目7 南興ビル 9階 TEL:011-211-5277 URL:https://www.instagram.com/nacht_und_nevel/ |