
SPECIAL FEATURE特別取材
RÉMY MARTIN BARTENDER TALENT ACADEMY 2025 JAPAN
[vol.01] -
グランドチャンピオン、亀井康平さんインタビュー!
#Special Feature
文:Drink Planet編集部
バーテンダーの秘めた才能にスポットライトを当てる国際的なカクテルコンペティション「レミーマルタン バーテンダー タレント アカデミー」。2025年日本大会のグランドチャンピオンに選ばれたのは「The SG Tavern」の亀井康平さん! 受賞の興奮冷めやらぬ亀井さんにインタビューしました。
グランドチャンピオンに贈られる日付と優勝者の名前が入ったレミーマルタンXOリミテッドエディション。
300年を超える歴史あるメゾンの、10年目となる世界的なコンペティション
1724年にフランス・コニャック地方で創業以来、フィーヌ・シャンパーニュ・コニャックのみに特化し、300年以上にわたって愛され続けてきた「レミーマルタン」。
そのレミーマルタンが、新進気鋭のバーテンダーの技術やカクテルに向けた情熱にスポットライトを当て、記憶に残るようなレミーマルタンを体験してもらう世界的なコンペティションが「バーテンダー タレント アカデミー(BTA)」です。
今年は10周年を迎える記念の年。世界12カ所で開催され、それぞれの優勝者はフランスで9月に開催される決勝大会に挑み、最終的にグランドチャンピオンが決まります。
日本代表を決めるファイナルは6月19日に開催。選ばれた5人のファイナリストが競技会場となった「グランド ハイアット 東京」のバー「マデュロ」に集いました。
今年のカクテルテーマは「Back to the roots to Dream Forward 〜想いを未来へ−原点から創造する夢の一杯〜」。
今はバーボンでつくられるミント・ジュレップやオールド・ファッションドですが、もとを辿ればコニャックが使われていたという歴史を踏まえ、独自の解釈を加えて、現代的なアレンジで蘇らせるという“創造性”が問われるテーマです。
コンペティションは準備2分、プレゼンテーション8分、審査員とのQ&A2分で構成。
プレゼンテーションでは、自己紹介に始まり、カクテルにまつわるストーリーの紹介、ミキシングから氷の組み立て、ガーニッシュ、最後の仕上げまでを時間内に、すべて英語で行わなくてはなりません。
グランドチャンピオンの名前が呼ばれた瞬間の亀井さん。思わずガッツポーズが!
決め手となったのは、魅力的なストーリーテリングとリスクをとった挑戦
さて、緊張の面持ちでプレゼンテーションを終えた5人のファイナリスト。
発表に先立ち、レミーマルタン インターナショナルブランドアンバサダーのアレクサンドル・カンタンさんは、「今回はクオリティがとても高くて感動しました。技術の正確さに加え、特に日本ならではの素材を取り入れた創造性に感銘を受けました」とコメント。
まずは2位の発表です。選ばれたのは「Tokyo Confidential」の田口航希さん!
そして、グランドチャンピオンに選ばれたのは、「The SG Tavern」の亀井康平さんでした!
思わず天を仰いでガッツポーズした亀井さん。コメントを求められ、「まさか、自分がここに立てるとは…」と涙ぐみながら絶句。
周囲からはやんやの喝采と激励の声。亀井さんは「ワールド大会では世界一を勝ち取って、日本に帰ってきたいと思います」と力強く宣言し、会場は温かい雰囲気に包まれました。
一番右はレミーマルタン インターナショナルブランドアンバサダーで、今回審査員も務めたアレクサンドル・カンタンさん。隣は同じくこの日審査員を務めた、2024年チャンピオン、大伴祐司さん(Zentis Osaka Upstairz)と2022年のチャンピオン、竹下健一さん(ザ・リッツ・カールトン京都「THE BAR」)。
アレクサンドル・カンタンさんに、亀井さんがグランドチャンピオンとなった決め手を伺ってみました。
「パフォーマンスがとても印象的でした。ストーリーテリングが非常に魅力的で、カクテルへの独特な解釈、器の選定、コンセプトの展開など、どれもリスクをとった挑戦でした。完成したカクテルは本当においしかったです」
では、そのコンセプトやストーリー作りとは?
チャンピオンとなった亀井さんにインタビューしてみました。
見事グランプリを受賞した亀井康平さん。
人生初のコンペティション応募で優勝!
「人生初のコンペへの応募で優勝できたので、まだ信じられない思いです。練習もすごくしましたが、会場に到着すると不安も大きくなり、プレゼン中は頭が真っ白になって何も覚えていません。人生でいちばん緊張した瞬間であり、人生でいちばん練習と試作、思いを詰め込んだ数ヵ月でした」
チャンピオンとなったカクテル名は『Résonance(レゾナンス)』。レミーマルタンVSOPに日本の焼酎を合わせ、「共存」「共振」という意味を持つフランス語に託しました。
チャンピオンカクテル『Résonance(レゾナンス)』。器には焼酎カップが使われ、ガーニッシュには自家製貴腐葡萄のチュイール。写真にはないが、チェイサーとして鹿児島のお茶「はんず茶」が添えられた。
「レミーマルタン自体がとてもフルーティでしっかりとした味と香りなので、それに華やかな芋焼酎『GLOW』を合わせました。
焼酎には薩摩の伝統的なお茶である『はんず茶』の香りを移しています。
さらに自家製の貴腐ぶどうコーディアルを加え、すべての味が融合してレミーマルタンの味を香りを引き上げる。お互いの味がそれぞれ影響し合っているカクテルです」
鎖国が続いていた幕末、薩摩藩がパリ万博に焼酎を出品したという歴史にインスピレーションを得たカクテル。もしもその時、焼酎がレミーマルタンと出合っていたらどんな味が生まれたのだろうという発想から生まれたそうです
「世界的に有名なレミーのコニャックが焼酎に合うということを、このカクテルを通じて世界に伝えていきたい」と話す亀井さん。
来年、このコンペティションへの参加を志すバーテンダーへのアドバイスも聞いてみました。
「僕も人生初のカクテルコンペティションだったので、応募すると決めるまでとても不安でした。
けれども、参加を決めてからは、それまで知らなかったことをたくさん知り、満足できる味にたどり着くまでがむしゃらに努力することによってバーテンダーとして成長させてもらったと思います。
少しでも大会に興味があれば、ぜひチャレンジしてほしいですね」
さて、亀井さん、今夜帰宅したらどんな美酒で祝いたいですか?
「レミーマルタンのトニック割りを飲みたいです! もとから好きなブランデーで、プライベートでも飲んでいたんですよ。今夜は浴びるほど飲みたいですね(笑)」