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キーワードは「海外」と「RTD」。
2022年クラフトコーラ最前線!
<後編>
#Pick up
Soramizu Ryosuke/空水りょーすけ from「Cola Fan」
文:Ryoko Kuraishi 写真提供:Ryosuke Soramizu
日本各地の造り手を取材のために訪ねる空水さん。トップ画像は「TOBA TOBA COLA」の取材のため喜界島を訪れた際のもの。
クラフトコーラの魅力は、「造り手のいきざまを表現できるところ」と空水りょーすけさん。
「クラフトコーラの材料は砂糖、スパイスやハーブ類、柑橘類ですが、あらゆる材料を受け入れる懐の深さがあります。
たとえば地元の海水から造った天然塩を加えて塩味を足したり、ヨモギやキハダといった、漢方材料になる和のハーブを合わせたり、その土地でとれたスパイスを加えたり。
柑橘類は日本各地でさまざまな種類が収穫されていることもあり、『ご当地コーラ』として地域性を出しやすく地域への貢献が可能です。
前述の『銚子灯台コーラ』はそのいい例ですね」
さまざまな業界で活躍している造り手が参入することで多様性が育まれているというクラフトコーラ。以前、どりぷらでも取材した「ともコーラ」もその一つだ。撮影:Kenichi Katsukawa
「さらに、クラフトコーラの造り手にはスパイスの専門家やカレー専門店のシェフ、ハーブや柑橘の農家などがいて、自分の得意とするジャンルをコーラ造りに生かしています。
原材料だけでなく造り手の社会的・文化的なバックグラウンドも載せやすいのが、クラフトコーラの特徴といえるでしょう」
というのも、「クラフトコーラとはなんぞや」という明確な定義がないから。
飲み手も造り手も自由な発想で向き合える飲料だから、思いもよらぬ表現や飲み方が生まれている。
そうしたことに面白さを感じる人が多いのでは、と空水さんは分析する。
こちらはクラフトソーダ工房「COLAND」。コーラスカッシュの製造を取材した。
酒蔵とクラフトコーラの親和性
最近、クラフトコーラ業界では、酒蔵の参入が相次いでいる。
酒蔵がクラフトビールを造るのはわかるとして、なぜクラフトコーラを?
「酒蔵発のクラフトコーラに共通するのは、甘味の原材料に米麹を使っている点。
酒蔵さんは米麹を扱う伝統もスキルも知識も充分にあり、前述したように『自分の得意とする分野を生かした』クラフトコーラを作ることができます。優しいお米の甘さが生きていて、私も大好きですね。
若者の日本酒離れが叫ばれて久しいですが、ポップなイメージをもつ『コーラ』という飲み物が、酒蔵と若い世代を繋ぐ架け橋になっています。
『日本らしさと若々しさを併せ持つドリンク』と考えると、酒蔵とクラフトコーラは相性がいいのではないでしょうか?
昨年にはつくば市の老舗の醤油メーカーが発酵に特化した『きのか蔵』というブランドを立ち上げ、薬膳発酵コーラと銘打った『覚醒』という商品の販売をスタートしています。
日本らしい発酵技術を製造に生かしたクラフトコーラはこれからもますます増えていきそうです」
さやの湯処では、サウナ×コーラに着目した「ととのふコーラ」というイベントを開催した。
さて、すでに多くのクラフトコーラが生まれているなかで、今後のシーンの動向を予想していただこう。
「材料、スタイル、造り手の出自……数年前に私が予想したものはすでに出尽くした感があります。
ということは、これからのクラフトコーラシーンの広まりは、私の想像を超えたものになりそうです。
一つ言えるのは、RTDが増えていくということ。
クラフトコーラには少数精鋭のイメージがありますが、世間に広く認知されるにつれ、既存の清涼飲料水に近づいていくはず。
クラフトビールには製造量の上限がありますが、クラフトコーラにはそうした制限はありませんから、製造量が増えていった時、クラフトコーラがもつ従来のイメージと製造量とのジレンマに悩むことになりそう。
現在のシーンでは、メーカーそれぞれが自分たちのコーラ感を追求し、それをさまざまな手法と規模で表現しようとしています。
今後は飲み手と造り手が手をとりあってクラフトコーラをアップデートしていくのではないでしょうか」
管理人を務める「コーラ倶楽部」。趣味として長く続けたいという。
また、「海外進出」にも注目だとか。
「クラフトコーラの原点ともいえる『伊良コーラ』はNY進出を見据えていますし、前述の『きのか蔵』も海外に売り込みをかけているとか。
海外でもクラフトコーラが誕生してはいますが、シロップの原液に炭酸を加えて提供するというスタイルは日本独自のもの。
海外ではよりスパイス感の強いものが好まれる印象ですが、ナチュラルであったり天然の原料を使っていたりという文脈は、海外で支持されるはずです。
日本のドリンク文化の一つとして海外に広まっていってほしいと願っています」
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