京都でいちばん人気のスポット!
連日、大行列のカクテルバーって?
<後編>

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京都でいちばん人気のスポット!
連日、大行列のカクテルバーって?
<後編>

#Pick up

L’Escamoteur from「L'Escamoteur」

今月は京都の人気スポット、「レスカモトゥール」にフィーチャー。マジシャンであるオーナーバーテンダー、クリストフさんが大切にする「バーでのとっておき体験」の極意を伺う。

文:Ryoko Kuraishi

卵白でふんわりと仕上げたシグネチャーカクテル、「KYOTO GARDENS」。Photos : SADAHO NAITO

レスカモトゥールではカクテルの味わいはもちろん、ここでしか体験できない“魔法”を大切にしている。


ロープで縛られた古い洋書、ガラス瓶や不思議なオブジェを飾る壁面のシェルフ、古い鳥籠…… クリストフさんが世界中で集めてきたというアンティーク、あるいは備品の一つ一つに、マジシャンならではの驚きの仕掛けが秘められている。


仕掛けの内容はここでは明かさないので、ぜひ実際に体験してみてほしい。


「僕がマジシャンで、店内にも色々なトリックがあることから『マジックバー』なんて書かれることもあるけれど、それがすごく悔しい。


うちは“ワンダー”と“サプライズ”のあるカクテルバー。
カクテルとライブ感のある体験で、それを伝えていきたいね」

ジン、ウイスキーのほか、アブサンも人気。ウォーターファウンテンでいただく。

それでは早速、カクテルを作っていただこう。


初めてに紹介してもらったのは、一番人気の「スモーキーオールドファッションド」。
ご存知、オールドファッションドにクリストフさんらしい“マジック”を加えたシグネチャーカクテルだ。


ベースになるのは桜のチップとシナモンでスモークしたウイスキー。
それに自家製ビターズと砂糖を加える。


マジシャンらしい煙の演出と相まって、いまやレモスカトゥールを代表するカクテルだ。
ウイスキー本来のボディをしっかりと感じさせつつ、燻香を纏わせることで香りと味わいが複雑な余韻を奏でる。


「僕の師匠は二人いて、一人は東京のバーにいた日本人バーテンダーの山形陽さん。
この店をオープンしようと思った時に教えを請うたんだ。


繊細な味わい、美しい所作、一杯への飽くなきこだわり。
バーテンディングとは何かということを彼が教えてくれたんだ。
すごく厳しい師匠だったけれど、その教えがなかったらいまの僕はなかったね」

オープン中はアンティークの雑貨に施された仕掛けが楽しめる。

「もう一人はオープンにあたって招いたフランス人のバーテンダー、ヴィンセント。


7ヶ月一緒に働いて、彼からはアメリカンスタイルのバーテンディングを学んだ。
スピード感のあるカクテルメイキング、効率のいい動線やバックバーのあしらい。


いわば日本式とアメリカ式の融合に、僕なりのクリエイティビティや演出を加えたものが、レスカモトゥール・スタイルというわけ」


二杯目のカクテルを紹介しよう。


今年は日本の素材や、故郷・プロヴァンスのローズマリーやラベンダーを使ったシグネチャーカクテルを揃えたというが、クリストフさんが薦めてくれたのは日本らしい素材を使った一杯だ。


クリストフさん自身、大ファンだという京都のジン「季の美」のために考案したシグネチャー、「キョート ガーデンズ」。
「季の美」に柚子リキュールと京都の抹茶、レモンと卵白、シロップを合わせた爽やかな一杯である。



柚子リキュールと京都の抹茶が、「季の美」に用いられている玉露や柚子などのアロマを引き立てる。
甘味、酸味、抹茶の苦味、卵白のまろやかさ、それぞれをバランスよく仕立て、みずみずしいカクテルに仕立てた。

スモークガンで仕上げる人気のカクテル「SMOKY OLD FASHIONED」¥1,500。

「シグネチャーにしろオールドスクールにしろ、シャープでメリハリのある味わいを心がけている。


加えて、カクテルからも“サプライズ”を感じられること。
世界中の素材が使える現代にあって、一杯のカクテルにどんな“サプライズ”や“ワンダー”を仕掛けるのか。


そうしたフィロソフィが外国人に受けているのかもしれないね」


現在は来年2月に披露する新しいメニューについて試行錯誤を重ねる毎日だ。
「詳しくは言えないけれど、ワサビなどフレッシュで日本らしい素材をたくさん取り入れる予定」というから、レスカモトゥールの人気は来年以降も続きそうである。


最後に、京都でバーを開くこと、そして最近の関西圏におけるバー・ムーブメントについて伺った。

FBのいいね!の数が増えると、このカウンターが動く仕組み。

「僕が日本に来て17年。
他の都市に住んだこともあるけれど、京都はいちばん好きな町なんだ。
南仏の出身だからかな、この街のどこかのんびりしたムードにシンパシーを感じるんだ。


最近は関西のバー・シーンが活気付いていて、色々な才能が大阪、京都、奈良から生まれているけれど、僕にとってはどこでやっているか、どのくらいやっているかはどうでもいいことなんだ。


大切なのは、『なにをやっているか』。
確かに大都市のバーはビジネスに結びつけやすいだろうと思う。
けれどこのバーはビジネスではなくパッションやクリエイションに突き動かされて経営している。
『いいバー』と謳われるバーはどこもそうじゃないかな。


いいバーであればどんな場所でもやっていける。
ロケーションは関係ないんだよ。
パッションを持って常により高みを目指し、さらなるクリエティブを追求する。レスカモトゥールはそういうバーでありたいね」

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SHOP INFORMATION

L'Escamoteur
京都市下京区西石垣通四条下ル斎藤町138-9
TEL:075-708-8511
URL:https://www.facebook.com/LEscamoteur-1392735951033939/

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