
PICK UPピックアップ
FUGLEN TOKYO:東京からソウル、ジャカルタへ!
カクテル&コーヒーの二刀流スタイルが、アジアを席巻する。
- 後編 –
#Pick up
荻原聖司/Ogiwara Kiyoshi from「FUGLEN TOKYO」
文:Ryoko Kuraishi 写真:Midori Yamashita
素材の組み合わせをあれこれ考えるのが好きだという荻原さん、このようなカクテルレシピの作成ではシェフや料理家の食材の使い方を参考にすることが多い。 好きなレストランのシェフの、食材の食感・味わい・香りを生かした組み合わせや調理方法にいつも感銘を受けるとか。
物腰柔らかな雰囲気とぴりっとしたカクテルメイキングのバランスが素敵な荻原聖司さんは、実はバリスタ出身。
前職では、コーヒースタンドとダイナーを併設する渋谷の有名カフェにバリスタとして勤務していた。
当時の同僚が「FUGLEN TOKYO」のバーテンダーを兼務していたこともあり、仕事帰りにはいつもここでカクテルを飲んでいたそう。
やがて、同じ渋谷エリアにある「石の華」にも足を運ぶようになり、カクテルに開眼。
バーテンディングそのものに興味を抱くようになり、「FUGLEN TOKYO」に入店してバーテンダーへの転身を果たした。
自家製マラスキーノチェリーにリンゴのコンポート、フレッシュな大葉やスパイス類。「FUGLEN TOKYO」のカクテルに欠かせないアクセントだ。
バーテンダー視点で考えた「FUGLEN TOKYO」のおもしろさ。
「ちょうどコーヒーカクテルが浸透し始めた時期で、バリスタのキャリアを生かしてカクテルを学べると思ったことが『FUGLEN TOKYO』に入店した理由です。
当時、コーヒーとカクテル、どちらにも力を入れている店舗は他になかったんです」
本格的なバーテンディングを身につけたかったから、「The Bar 草間 GINZA」にてクラシックカクテルのトレーニングを受けたことも。
オーセンティックバーの最高峰で、名物のギムレットほかカクテルの基礎を学べたことがいい経験になったとか。
さらに入店から1年ほどで、オスロにて本国のバーチームによる研修を受ける機会を得た。
忘れられないのは、本店のスタッフに連れて行ってもらった「HIMKOK」。「The World’s 50 Best Bars」常連の、オスロのカクテルシーンを牽引するバーである。
「おいしそう」と「シソ」をかけた「OISHISO」もオープン当時からの人気カクテル。Hendricks Ginに自家製ジンジャーシロップでアクセントを加えている。仕上げにアブサンの香りをまとわせて。¥1230
「大バコのクラブのような雰囲気なのに接客は丁寧でフレンドリー。それでいてクオリティの高いカクテルを提供している。
いまでこそバーテンダーのパフォーマンスを楽しみながら、ミクソロジーとクラシックが同居する、オリジナリティあふれるカクテルを味わえる『HIMKOK』のようなバーは東京にもありますが、当時はオーセンティックかカジュアルか、どちらかしかありませんでした。
『こんなスタイルがあるんだ』って衝撃を受けました」
「オスロに本店がありながら東京に店舗を構えるバーとして、オスロのムードと日本らしいスピリッツや素材の融合の完成度をさらに高め、ここでしか楽しめないコンテンツを発信していきたい」と荻原さん。
フレッシュな大葉を使った「OISHISO」など、日本らしい素材やニュアンスをアクセントにとりいれているカクテルは本国のメニューにはないものだ。
「FUGLEN TOKYO」といえばコーヒーカクテル。「ESPRESSO MARTINI」以外のおすすめは?と聞いて登場したのが「BLACK ROSE」。ベーススピリッツはDemerara Rum。Demerara Rumらしいバニラのニュアンスを強調する自家製バニラシロップを加えている。
東京を飛び出して、アジアの都市へ。
バーマネージャーに就任して5年目の荻原さんが率いるバーチームにとって、今年は大きなチャレンジがあった。
10月末に「FUGLEN SEOUL」が、11月には「FUGLEN JAKARTA」が相次いでオープン。
荻原さんは2つの新店舗のバータイムの統括とバーメニュー開発を担った。
「バーメニューは『FUGLEN TOKYO』をベースにしているものの、それぞれの店舗ではその国由来のスピリッツを取り入れています。
また、今後はその国の旬の素材を使ったオリジナルレシピも展開していきたいと思っています」
オープンしたばかりの「FUGLEN SEOUL」で、現地のスタッフとカクテルを作る。
ソウルもジャカルタも、世界のスペシャルティコーヒー・シーンで存在感を増している都市である。
そうしたシーンの広がりにつれてコーヒーカクテルへの注目度も飛躍度的に高まっており、「World Coffee in Good Spirits Champion2024」では韓国が優勝、インドネシアも4位入賞を果たすなど、バリスタ&バーテンダーにとってアップカミングな街になりつつある。
そんなアジアの国々で、「FUGLEN TOKYO」と荻原さんは、コーヒー&カクテルで新しい居場所作りを行っていく。
SHOP INFORMATION
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FUGLEN TOKYO | |
150-0063 東京都渋谷区富ヶ谷1-16-11 TEL:03-3481-0884 URL:http://www.fuglen.com/japanese |