
PICK UPピックアップ
「クラフトコーラの仕掛け人がリリース、
日本の間伐材を使った純国産ジン誕生。
<後編>
#Pick up
日本草木研究所 from「日本草木研究所」
文:Ryoko Kuraishi、撮影:Hisashi Nagasu
日本草木研究所の、森の食用化を試みる実験から生まれたプロダクト、「フォレストシロップ」と「フォレストソーダ」。
樹木が放出している化学物質は「フィトンチッド」と呼ばれ、抗菌・殺菌作用、防虫作用、精神安定効果、有害物質を浄化する作用などさまざまな効果があることがわかっている。
この香りを嗅ぐとリラックス時に脳波に出現するα波が増加、心拍数も安定し質のよい睡眠を得られるという報告もなされている。
飲用にあたっては安全性試験を行い、フィトンチッドの効果も確認することができた。
とはいえ、ノンアルコールドリンクでは抽出できる香りに限りがあることから、より森林感を味わえるプロダクトとしてクラトジンの開発がスタートした。
「フォレストジン」の仕込みに使われた野生香木。
コンセプトは森林トリップ。
草木酒の第一弾である「フォレストジン」は6月に完成したばかり。
木を食品として捉えることで、日本で有効活用されていない国産間伐材の新たな用途を開拓しようという意欲作で、原料を林業従事者から適正価格で買い取るフェアトレードで林業の活性化・持続可能化をも目指している。
「シロップはモミを主原料としていましたが、ジンでは埼玉県のスギとナラ、山梨県のヒノキ、和歌山県のコウヤマキ、沖縄県のカラキ(琉球シナモン)を使っています。
香りが圧倒的にいいこと、そしてその活路を広げたいことから針葉樹林をメインとしています。
ジンに欠かせないジュニパーベリーは海外産しか流通していないため、同様の香りを楽しめる日本原生種のビャクシン属のハイビャクシンとネズミサシ を活用しました。
スパイシーでさわやかな風味を楽しめます」
クリエイティブディレクターとしてデザインやアートディレクションを行うのはもちろん、イベントの企画なども担う。
レシピを決めるにあたっては、まずさまざまな香木を単一で蒸留しシングル・ボタニカルスピリッツを作った。
それぞれの割合を変えてさまざまにブレンドしながらベストな配合を探ったという。
シロップ、ソーダの製造には友人である「エシカルスピリッツ」の山口歩夢さんがサポートしてくれているが、ジンの製造にあたっては山口さんから紹介してもらった佐賀県にある穂乃花蒸溜所に協力を仰いだ。
そんなフォレストジンのおすすめの楽しみ方は?
こちらは日本のコショウことフウトウカズラ。温暖な沿岸部に自生する植物で、その実はコショウのような爽やかな辛味と柑橘の皮のような苦味をもつ。千葉県の「苗目」産のフウトウカズラから一粒一ずつ手で採取して塩漬けにしたもの。昨冬、“森の生コショウ”として期間限定発売した。
「まずはストレートで、鼻と舌で“森林トリップ”を体験してみてください。
ヒノキの清涼感のある青い香り、森の中で深呼吸をしたときのような清々しさを味わえます。
ストレートで森林の香りをダイレクトに味わったら、ソーダでアップして。
ジンの中に柑橘が含まれていないので、ユズの果皮などをあわせて柑橘の要素を加える飲み方もおすすめです。
グレープフルーツは、これに含まれるサビネンという精油成分がジュニパーとリンクするので親和性が高いはず。グレープフルーツとの相性も確かめてみてください」
ジンの次はスパイシーな青リンゴのような風味を楽しめるというスギの新芽の商品化を企画中だ。
こちらはアイスクリームに仕立てるか、ホールスパイスとして乾燥させた新芽の丸ごとをレストラン・飲食店向けに販売したいと考えている。
草木酒第二弾はカツラ、それからモミを主役にしたスピリッツを今年中にリリースしたいと計画中。
ソーダ&シロップのノンアルコールドリンクも、軽井沢産からエリアを広げて原材料を探していく予定だ。
「日本各地の里山と“相棒山”として連携し、里山資源の新たな活用を探っていきます。
それと同時に、日本の有用植物を一堂に集めた生きた植物園、“見本山”を作り、山を訪れた人たちに里山の植物の豊かさを触れていただく機会を提供します。
目指すのは、里山の植物たちが食材やスパイスとして当たり前のように食卓に並んでいる風景なんです」
まずはドリンクで親しむ里山植物たちの奥深い世界にぜひご期待ください。
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日本草木研究所 | |
非公開 TEL:非公開 URL:https://nihonkusakilab.com |