
DP LABOどりぷラボ
今回のお題:「ゴールドラッシュ」
〜Jack Daniel’s Inspiration Circuit Vol.3〜
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文:Drink Planet編集部 撮影:秋山枝穂
アメリカンカルチャーに精通したバーテンダーたちが、それぞれの解釈でジャックダニエルを掘り下げ、オリジナリティあふれるカクテルに仕上げる「Jack Daniel’s Inspiration Circuit」。
今回のキープロダクトはジャックダニエル テネシーハニー。ジャックダニエル由来のバナナやキャラメルを思わせる甘い香りに、芳醇なハチミツの味わいとローストしたナッツのような香ばしさが調和します。
熟成前の原酒を、巨大な槽に詰めたシュガーメープル(サトウカエデ)の木炭で一滴ずつ丁寧に磨く「チャコール・メローイング」により生まれる、甘い香りとスムースな口当たり、メローな余韻が特長のジャックダニエル。
ジャックダニエル テネシーハニーは、そのジャックダニエルをベースに天然のハチミツとナッツのリキュールを加えて造られた、豊かな風味を楽しめるフレーバードウイスキーです(※酒税法上の分類はリキュール)。
古きよき時代のものづくりを大切にする姿勢から“アメリカのクラフツマンシップの体現”と謳われるジャックダニエルですが、伝統を大切にするだけでなく新たなチャレンジへの歩みを止めない革新性も併せ持つ造り手なのです。
Vol.3のお題は、そんなジャックダニエルのものづくりの精神ともリンクする「ゴールドラッシュ」。
アメリカのゴールドラッシュはいくつかありますが、最も有名なものは「カリフォルニア・ゴールドラッシュ」でしょう。
1848年、カリフォルニアで金鉱が発見されたことをきっかけに、一攫千金を夢見る人々が世界中から西部を目指すようになりました。
そんなゴールドラッシュの精神性やそこからイメージされるストーリーを、「Newjack」のABIさん、「DBL」の山内世次さん、「Bar NOW」の渡部海斗さんの3人にカクテルで表現していただきます。
左から、「Newjack」のABIさん、「Bar NOW」の渡部海斗さん、「DBL」の山内世次さん。
はじめに、それぞれのバーテンダーのジャックダニエルとの出会いから聞いていきましょう。
あなたとジャックダニエルの出会いについて教えてください。
「ウイスキーの魅力を教えてくれた存在」(ABI)
「学生時代、バイト終わりに同僚と飲んだハイボール」(渡部)
「ノベルティがかっこいいから、店にあったステッカーを自宅に持ち帰って貼っていました」(山内)
「バーテンダーとして最初に勤めた店舗がアメリカンレストラン。海外のお客さまからのオーダーが多かったドリンクが、ジャックソーダとジャックコークでした。
カウンターでジャックソーダを飲んでいる姿がまるで映画のようで、それを真似してカウンターでジャックダニエルを飲んだことも。
そうそう、その店で飲んだリンチバーグレモネードがきっかけで、ウイスキーの魅力に目覚めました。つまり、ジャックダニエルが新しい世界を教えてくれたんです」(ABIさん)
「学生時代、居酒屋でのバイト終わりに同僚と飲みに行って、頼んだハイボールのベースがジャックダニエルでした。
バナナやキャラメルを思わせる甘さに、ウイスキーってこんな味わいなんだってびっくりしたことを覚えています」(渡部さん)
「25歳で入店したアメリカンバーにはたくさんのバーボンがあって、そこでテネシーウイスキーを学びました。
店にはさまざまなバーボンウイスキーのグッズやノベルティが置いてありましたが、なかでもジャックダニエルがかっこよかった。
店にあったステッカーを家に持ち帰って貼っていましたから(笑)」(山内さん)
2013年にフレアバーテンディングに出合い、バーテンダーとしてのキャリアをスタート。2015年、キャリア2年目にして女性フレアバーテンダー日本一を決める大会で初優勝を果たしたABIさん。現在は「Newjack」のヘッドバーテンダーとして活躍中。
ABIさんのカクテル「New Jack Trail」
「ジャックダニエルの、“自分の名前をつけるなら妥協することなく最高のものを追求する”という哲学に共感する」というABIさん。
そのものづくりの精神に「新しいものを“ジャック”する」という思いを重ねて名付けたカクテル、「New Jack Trail」。
ABIさんが「New Jack Trail」に描いたのは、雲に乗ってさまざまな未来を旅するイメージ。
旅の始まりは、ジャックダニエルの故郷、アメリカです。
奥行きのある果実感を与える発酵バナナジュースは、カリブの風と冒険をイメージ。
そこに、パイナップルシャンパンビネガーでトロピカルなニュアンスとヨーロッパの洗練された酸味を重ね、ジャパニーズ・クラフトの象徴である芋焼酎を合わせました。
「力強くて、それでいて未来をどっしり見据える落ち着きもある。そこに、ジャックダニエル テネシーハニーの甘くまろやかな余韻が全体の味わいを引き立てくれます」
「ゴールドラッシュという言葉には、ただ金を掘るだけでなく、困難に打ち勝って新しいものを切り拓くんだ!という前向きな精神を感じます」というABIさん。
「この言葉がもたらす、まだ見ぬ未来と自分を信じて歩き続けるイメージは、バーテンダーとして生きる自分と重なる部分があるように思いました。
ジャックダニエル テネシーハニーはジャックダニエルらしい個性がありながら、口当たりがよくてネーミングもキャッチー。
材料を合わせるだけで複雑なニュアンスが生まれるから、シンプルなレシピがいいですね」
22歳で鶴見のオーセンティックバーでキャリアをスタートした渡部さんは、現在25歳。昨年は「Moon Shine Cocktail Competition 2024 」で見事優勝!
渡部さんのカクテル「Lead or Meat」
一方、渡部さんはゴールドラッシュ時代に花開いたバーベキューに着目しました。
アメリカのバーベキューは家族や気のおけない仲間と過ごす親密な時間の象徴。ゴールドラッシュの時代においても、バーベキューは金鉱で働く鉱夫たちにとって大切な語らいの場をもたらしてくれていたようです。
「一攫千金を夢見たカリフォルニアの日々を懐かしく振り返る、そんなシーンをイメージして作成したカクテルです。
バーベキューを思わせる香ばしさ、焚き火のようなスモーキーさをアクセントに、ノスタルジックな旨みのあるカクテルに仕上げてみました。
久しぶりに会った仲間とゆっくり語り合う夜に飲んでいただきたいと思います」
コショウのアクセントがいい、パンチの効いたカクテル。ガーニッシュは、バーベキューをイメージして凧糸を巻いたフルーツレザー。凝縮したフルーツの旨みがカクテルにぴったり。
ジャックダニエル&ジャックダニエル テネシーハニーの甘い香りに寄り添う旨みは、IPAホップと牛出汁をインフューズしたブドウジュース。
リンゴのウッドチップの薫香を移したシャンボールから、スモーキーな香りが漂います。
アクセントになるフルーティな酸味は、バーベキューソースをインフューズドしたオロロソシェリー。仕上げに振りかけたコショウでピリッとスパイシーに。
「川崎にはお茶割文化が根付いており、若い客層に向けてのツイストとして、クラシックカクテルとお茶割を合わせたカクテルを提案しています。
たとえば、ジャックダニエルを使って甘く仕上げたマンハッタンをお茶で割る“茶割マンハッタン”とか。
そんなふうに、重厚感があるカクテルを少しだけ軽めに仕上げたいときに重宝するのがジャックダニエル。
アルコール感はしっかりあるのに、口当たりはスムース。だからカクテルに使いやすいんです」
バーやレストランなど、飲食業界で20年以上のキャリアを誇る山内さん。2022年にオープンした「DBL」で店長兼ヘッドバーテンダーを務めています。
山内さんのカクテル「MOTOWN」
25歳でバーテンダーとしての道を歩みはじめ、アメリカンバー、テキーラバー、DJバー、そして現在のカクテルバーと、さまざまなスタイルのバーでのバーテンディングを経験した山内さん。
「僕は音楽が好きなので、ジャックダニエルというとやっぱりロックとの結びつきが最初に思い浮かびます。今回も音楽の流れからカクテルを考えてみました。
ジャックダニエルというと150年以上変わらない製法を貫くクラフトマンシップというイメージがありますが、フレーバードウイスキーという新しいものに挑戦することも忘れない。
お題の『ゴールドラッシュ』が象徴するものに、そのような”挑戦する精神”があると思いますが、音楽のジャンルにおける開拓者といえばモータウンです。
彼らが生み出した新しい音楽――ソウルやR&Bは世界中の人々を引きつけましたが、どこかゴールドラッシュとリンクするように思いました。
この『MOTOWN』では、ゴールドラッシュや音楽によってさまざまな国や文化背景がミックスされていくさまを表してみました」
「ゴールドラッシュというとカリフォルニアの明るいイメージがあります。太陽の下で飲んでほしいと思い、ショートカクテルでも軽めですっきりした飲み口に仕上げてあります」
ジャックダニエル テネシーハニーをベースに、メキシコのテキーラ、日本らしいユズをミックス。
スパイシーなテキーラにはおだやかに香るカモミールをインフューズド。芳醇なハニーとスモークしたオレンジの奥深いフルーティさがマッチします。
ガーニッシュに添えたのは、キャラメリゼしたドライオレンジ。
「カクテル自体はフルーティですが、シーズニングとガーニッシュを一緒に味わっていただくと、スモークやスパイスの個性的なアクセントを感じていただけるはずです」
ジャックダニエル テネシーハニーが日本に上陸したとき、ちょうどDJバーで働いていたという山内さん、「海外からのお客さまや音楽関係者はこぞってハニーを飲んでいました」と当時を振り返ってくれました。
「最近はピーナッツバターウイスキーやメープルウイスキーが流行っていますが、その先駆けがジャックダニエル テネシーハニーですよね。
これでカクテルを作るのは初めてでしたが、芳醇なハニーの風味がカクテル向き。カクテルで個性が際立つフレーバードウイスキーだと思います」
ジャックダニエル テネシーハニーの個性を引き出す三者三様のカクテルを提案していただきました。
次回はジャックダニエル シングルバレルが登場します!
Jack Daniel’s Inspiration Circuit Vol.4に続く。